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​物理解析の手法

■ MCとは?

素粒子実験に関わっていて日常的に議論で出てきたりスライドで目にする言葉の一つが "MC" である。

MCとはMonte-Carlo simulationのことで、
粒子同士の反応や検出器の応答などをこの手法でシミュレーションを行なう。

Monte-Carlo simulationは正規分布など確率分布を元に乱数を振って、
確率的な振る舞いをする事象を予測するのによく用いられる。

素粒子実験では、まず解析で興味がある相互作用や実験で使う検出器に対してMCシミュレーションを走らせて
数十万イベント単位で "サンプル" を生成する。
得られたサンプルを解析し、どのような結果を示すかを調べた後に
実際に取得した実データを重ねて解析を行なうのが典型的な解析の方法になる。

■ ヒストグラムの規格化 (分布の形の比較etc.)

解析をしているとさまざまなヒストグラムを作ることになるが、時に複数のヒストグラムを比較したくなることがある。

例えば2つのエネルギーの分布としてヒストグラムを作ったとする。
一方はMCの真の信号事象だけをFillした分布、もう一方は真の背景事象をFillした分布だとして、

信号事象と背景事象で分布の形にどのような違いがあるかを調べたいという時がある。

ここで注意したいのは単に2つのヒストグラムを重ね描くと信号事象と背景事象で統計量は一般に異なるはずで、
そのままでは統計量が違うことから「信号事象と背景事象の間の性質の違い」を正しく見ることができないという点である。

(信号事象と背景事象の "数" がそれぞれどれくらい違うかという比較であればそのまま重ね描くでOK)

 

この2つの分布の形がどう違うのかを見るためには、各分布をそれぞれ自身の面積で規格化することである。
これによりそれぞれの分布は積分すると面積が1の分布に置き換わり、分布の形を比較する上でフェアになる。

​解析の知識・テクニック
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